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免疫:MIFは炎症性細胞やアテローム生成細胞の動員におけるCXCケモカイン受容体の非同族リガンドである

Nature Medicine 13, 5 doi: 10.1038/nm1567

サイトカインであるマクロファージ遊走抑制因子(MIF)は炎症性疾患やアテローム発生に重要な役割を担っている。本論文では、ケモカイン受容体であるCXCR2とCXCR4がMIFの機能にかかわる受容体であることを明らかにする。MIFは、CXCR2あるいはCXCR4を介して、単球やT細胞のGαiやインテグリンに依存した遊走の停止および走化性、急速なインテグリン活性化およびカルシウム流入を引き起こした。MIFはCXCR4およびCXCR2への結合でこれら受容体の本来のリガンドと拮抗し、CXCR2に直接結合した。CXCR2とCD74は受容体複合体を形成するが、炎症を起こしているかアテローム硬化が起こっている動脈でMIFによって引き起こされた単球の遊走停止にはCXCR2とCD74の両方が関与していた。in vivoでは、アテローム性動脈硬化症傾向を示すマウスでMif欠損によって単球の動脈壁への接着が低下し、MIF誘導性の白血球の移動にはIl8rb(Cxcr2をコードする)が必要であった。アテローム性動脈硬化症が進行したマウスでは、Mifの阻害によってアテローム斑の退縮および斑内の単球やT細胞含量が低下したが、Cxcr2あるいはCxcr4の本来のリガンドの阻害ではこのようなことは起こらなかった。MIFは、CXCR2とCXCR4の両方を活性化することによって、ケモカイン様の機能を発揮し、炎症性細胞の移動やアテローム発生の主要な調節因子としてはたらく。アテローム性動脈硬化症がはっきりしている患者では、MIFの標的化が疾患治療に使える可能性がある。

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