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糖尿病:β細胞のABCA1はインスリン分泌、グルコース恒常性およびチアゾリジンジオンへの治療反応性に影響を与える

Nature Medicine 13, 3 doi: 10.1038/nm1546

2型糖尿病は、末梢のインスリン抵抗性およびβ細胞からのインスリン分泌低下の両方の特徴をもつ。この疾患におけるβ細胞機能障害の原因は完全には解明されていないが、毒性をもつ脂質のこの細胞内への蓄積がその一因である可能性がある。我々は、細胞のコレステロール輸送体であるAbca1のβ細胞のコレステロール恒常性およびインスリン分泌における役割について調べた。β細胞のAbca1を選択的に不活化したマウスでは、著しい耐糖能障害およびインスリン分泌不全がみられたが、インスリン感受性は正常であった。これらのマウスから単離した膵島は、in vitroでコレステロール恒常性の変化およびインスリン分泌不全を示した。我々は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γの活性化剤で、β細胞でのAbca1発現を増加させるロシグリタゾンが、耐糖能に対して有効性を示すには、β細胞のAbca1が必要であることを見いだした。この研究は、β細胞のコレステロール恒常性およびインスリン分泌におけるAbca1の新たな役割を確証し、2型糖尿病ではコレステロールの蓄積がβ細胞の機能障害の一因となっている可能性を示唆している。

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