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肺疾患:好中球のCXCR1の切断は嚢胞性繊維症肺疾患での殺菌を無力化する

Nature Medicine 13, 12 doi: 10.1038/nm1690

インターロイキン8(IL-8)はケモカイン受容体CXCR1とCXCR2を介して好中球を活性化する。一方、嚢胞性繊維症患者の気道には大量の好中球とIL-8が存在するにもかかわらず、病原細菌が定着していることが多い。今回我々は、IL-8がCXCR2ではなくCXCR1を介して、好中球による殺菌を促進することを示す。嚢胞性繊維症患者の気道では無制限にタンパク質が分解されてしまうため、好中球上のCXCR1が切断され、好中球の殺菌能が無力化される。これらの作用はプロテアーゼ濃度に依存しており、慢性閉塞性肺疾患患者でも程度は弱いものの同様の現象がみられる。受容体の切断により、糖鎖修飾を受けたCXCR1断片が放出され、これによって気管支上皮でToll様受容体2を介するIL-8産生が誘導される。α1-アンチトリプシンの吸入によるin vivoでのプロテアーゼ阻害はCXCR1発現を回復し、嚢胞性繊維症患者の殺菌能力を改善する。CXCR1の切断、この切断がもたらす機能的結果、および生体活性成分として作用する可溶性CXCR1断片の同定は、嚢胞性繊維症や他の慢性肺疾患の新規な病態生理学的機構にあたる。

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