Letter

敗血症:CD16は食作用を妨害して炎症を促進するFcRγ抑制経路を介して大腸菌による敗血症を促進する

Nature Medicine 13, 11 doi: 10.1038/nm1665

敗血症は世界的に主要な死因であり、炎症促進性の応答と効果の低い細菌クリアランスがかかわっている。食細胞は、宿主に生来備わる受容体を介して細菌を除去することにより、敗血症の防止に非常に重要な役割を果たす。今回我々は、Fc受容体ファミリーに属し、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達サブユニットであるFcRγアダプターが、敗血症に有害な影響を及ぼすことを示す。FcRγ-/-マウスは、大腸菌に対する食作用と殺菌作用が著しく上昇し、炎症促進性サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF)-αの産生が低下する結果、腹膜炎での生存率が向上する。大腸菌に対する食作用を阻害するFcRγ関連受容体はFcγRIII(CD16とも呼ばれる)であり、この受容体が欠損するとマウスは敗血症を起こしにくくなる。FcγRIIIは大腸菌と結合し、この相互作用がFcRγのリン酸化、チロシンホスファターゼSHP-1の動員およびホスファチジルイノシチド-3キナーゼ(PI3K)の脱リン酸反応を誘発する。PI3K活性の低下は、大腸菌に対する食作用を阻害し、Toll様受容体4を介したTNFα産生を増加させる。我々は、マクロファージ上でFcRγによって負の調節を受ける食細胞受容体がクラスAスカベンジャー受容体MARCOであることを明らかにした。大腸菌とFcRγRIIIとの相互作用は、MARCOへのSHP-1の動員を誘発し、それによって大腸菌に対する食作用を阻害する。したがって、大腸菌とFcRγRIIIとの結合が、FcRγ抑制経路の引き金となり、この経路はMARCOを介した細菌クリアランスを抑制すると同時に、TNFα分泌を活性化する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度