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骨粗鬆症:ニューロメジンUによる骨リモデリングの中枢性制御

Nature Medicine 13, 10 doi: 10.1038/nm1640

最も頻度の高い骨疾患である骨粗鬆症において機能が障害される骨リモデリングは、基質を産生する骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収の2つの側面からなる。食欲抑制ホルモンのレプチンが視床下部を介して骨形成を阻害することが明らかになったことから、視床下部でエネルギー代謝に関わる他の分子も骨量を調節する可能性が示唆される。ニューロメジンU(NMU)は食欲抑制性の神経ペプチドの1つで、レプチンとは独立に作用するが、その作用機序はよくわかっていない。今回我々は、Nmu欠損マウス(Nmu-⁄-)の骨量が骨形成の促進により増加すること、またこれは雌のマウスに比べて雄のマウスでより顕著であることを示す。生理学的および細胞生物学的解析から、NMUは直接骨細胞に作用するのではなく、中枢神経系で作用して、骨リモデリングを制御することがわかった。注目すべきことに、レプチンあるいは交感神経系による骨形成の阻害はNmu-⁄-マウスでは消失しており、これはレプチンによる骨形成抑制作用を仲介する分子時計遺伝子の骨における発現が変化していることを示している。さらに、野生型マウスにNMU受容体の天然アゴニストを投与すると骨量が減少した。これらの結果を総合すると、NMUはレプチン依存性骨量調節の初めて同定された重要なメディエーターであると考えられる。NMU作用の阻害薬と活性化薬が存在することから、これらの結果は骨粗鬆症などの低骨量を示す疾患の治療に影響をもたらす可能性がある。

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