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免疫:適応免疫系の細胞は初期の自然免疫応答を調節する

Nature Medicine 13, 10 doi: 10.1038/nm1633

Toll様受容体(TLR)は、病原体関連分子パターンと呼ばれる、保存された微生物構造を認識する。TLRからのシグナル伝達は、T細胞プライミングを増強する共刺激分子の発現上昇や、自然免疫系の細胞による炎症性サイトカインの分泌を引き起こす。リンパ球を欠く宿主は急性感染で死亡することが多いが、これはおそらく効果的に病原体を除去する適応免疫応答を欠くためである。しかし本論文では、常在するT細胞が存在しないことで抑制が解除された自然免疫応答も直接の死因になりうることを示す。T細胞またはリンパ球を欠損するマウスに、ウイルスを感染させるか、TLR3のリガンドであるポリ(I:C)を投与すると、NK細胞と腫瘍壊死因子に依存する形でサイトカインの急激な産生、つまり「サイトカインの嵐」状態が引き起こされた。また、野生型マウスでのCD4+およびCD8+細胞の除去、あるいはRag-1欠失マウスへのTリンパ球の移入により、早期の自然免疫応答の抑制にはT細胞が必要であり、これだけで十分であることも明らかになった。本来的に存在する調節性T細胞の影響に加えて、休止状態CD4+CD25-Foxp3-あるいはCD8+ T細胞の自然免疫系細胞との濃密接触によっても、さまざまな自然免疫系細胞によるサイトカインの急激な産生増大を抗原非依存的に抑制できた。したがって、適応免疫系の細胞には、初期自然免疫応答の調節という予想外の役割があると考えられる。

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