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癌:腫瘍細胞上のKAI1と血管内皮上のDARCとの相互作用は転移抑制につながる

Nature Medicine 12, 8 doi: 10.1038/nm1444

CD82KAI1としても知られており、ヒト染色体11p1.2に存在する前立腺癌の転移抑制遺伝子として最近同定された。CD82の産物はKAI1で、これはテトラスパニンに属する40から75 KDaの細胞表面タンパク質で、白血球細胞表面マーカーCD82としても知られる。KAI1の発現低下が臨床的に転移の進行に関連していることはさまざまな癌で認められており、一方、CD82の過剰発現は、種々の動物モデルで腫瘍転移を特異的に抑制する。我々は、KAI1の作用機構を明らかにするために、酵母のツーハイブリッドスクリーニング法を用いて、内皮の細胞表面タンパク質であるDARC(別名gp-Fy)がKAI1と相互作用する分子であることを同定した。我々の結果は、KAI1を発現する癌細胞はKAI1とDARC間の直接的な相互作用を介して血管内皮細胞に接着し、この相互作用がTBX2やp21の発現を調節することによって腫瘍細胞の増殖抑制やセネッセンスを誘導することを示している。さらに、DARCノックアウトマウスではKAI1の転移抑制活性が大幅に低下していたが、野生型やヘテロ接合性の同腹仔ではKAI1の発現は肺転移を完全に抑制した。これらの結果は、CD82の転移抑制因子としての機能にDARCが不可欠であることの直接的な証拠となる。

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