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プロトンNMR:血漿のプロトンNMR解析は冠動脈疾患の検出能が低い

Nature Medicine 12, 6 doi: 10.1038/nm1432

血清の1H-NMRスペクトル多変量解析によって、血管造影法で確定される進行した冠動脈疾患(CAD)を>90%の精度と特異性で予測できることが以前に報告されている。この解析法はおもに主要脂質のスペクトル領域に依存しているが、性別や薬物療法などの多くの変数が脂質組成に影響を及ぼして交絡要因となる可能性がある。今回我々は、血管造影法で確定されたCADに対するこの解析法の予測能を、正常冠動脈(NCA)かCADをもち、スタチン治療の有無で分類される男性患者グループの血漿検体を用いて決定した。NCAグループとCADグループの予測精度は、ランダム予測精度は50%なのに比べて、スタチン治療を受けていない患者で80.3%、治療を受けている患者では61.3%にすぎなかった。信頼限界が>99%となったのは、治療を受けていないグループでは予測の36.2%、治療グループでは6.2%だった。したがって、1H-NMRによる信頼限界>99%のCAD検出能は血管造影法に比べて大きく劣ることになる。

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