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補体:C3が存在しない場合のC5aの生成:新しい補体活性化経路

Nature Medicine 12, 6 doi: 10.1038/nm1419

ヒトでの補体を介する組織損傷は、自己免疫疾患や急性呼吸窮迫症候群などにおいて認められるような免疫複合体の沈着によって起こる。IgG免疫複合体の沈着後に起こる肺の急性炎症性傷害は、野生型およびC3-/-マウスで同程度でありC5a依存性だったが、Hc-/-マウス(HcはC5をコードしている)では傷害が大幅に抑えられた。C3-/-マウスでは、肺損傷と気管支肺胞洗浄(BAL)液中のC5a量は、アンチトロンビンIII(ATIII)あるいはヒルジン存在下で大幅に減少したが、同様の処理をしたC3+/+マウスでは、このような減少は認められなかった。C3-/-マウス血漿は、C3+/+マウス血漿に比べると、トロンビン活性が3倍高かった。C3-/-マウスは、C3+/+マウスと比較すると肝臓のプロトロンビンやトロンビンタンパク質だけでなく、F2 mRNA(プロトロンビンをコードしている)の発現量も高かった。C3+/+あるいはC3-/-マウスのどちらの血漿を使用しても、活性の高い固相C5コンベルターゼが生成された。ヒトC5をトロンビンとともにインキュベートすると、生物活性のあるC5aが生成された。これらのデータは、C3が遺伝的に欠損している場合に、トロンビンがC3依存性C5コンベルターゼの代替として機能することを示している。このような、補体経路と凝固経路間の関連は、補体活性化の新しい経路を示している可能性がある。

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