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軟骨:カーミネリンは軟骨内骨化における軟骨細胞の石灰化に関与している

Nature Medicine 12, 6 doi: 10.1038/nm1409

軟骨内骨化は、生理的な骨格の発生および成長のみならず、病理的にも重要な過程である。我々は最近、軟骨に特異的に発現している新規分子カーミネリン(シスタチン10とも呼ばれ、Cst10にコードされる)を同定した。カーミネリンは軟骨細胞の成熟と同期して発現し、その投与は培養軟骨細胞の後の分化を促した。カーミネリン欠損(Cst10-/-)マウスの発生および成長は正常であったが、成長板における肥大化軟骨細胞の石灰化にわずかな低下が見られた。病理学的な軟骨内骨化の実験モデルを構築したところ、Cst10-/-マウスでは、変形性関節症における骨棘形成、加齢による異所性骨化、および骨折の治癒過程で、軟骨細胞の石灰化の抑制が認められた。培養Cst10-/-軟骨細胞では、ヌクレオチド・ピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ1(NPP1)をコードする遺伝子Enpp1のプロモーター内のSRY部位の活性化により、石灰化の低下が認められた。NPP1の機能は、カーミネリン欠損時に見られる上記のような病的軟骨内骨化の抑制に必要であった。以上より、カーミネリンは、生理的・病理的条件下での軟骨内骨化における軟骨細胞の石灰化にNPP1の転写阻害を介して機能する最初の軟骨特異的タンパク質であることが示された。

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