Letter

骨形成:CaMK-CREB経路による破骨細胞の分化と機能の調節

Nature Medicine 12, 12 doi: 10.1038/nm1515

カルシウム(Ca2+)シグナル伝達は、さまざまな細胞応答および生体高次機能に不可欠である。Ca2+/カルモジュリン依存性のキナーゼ(CaMK)およびホスファターゼ(カルシニューリン)は、それぞれ転写因子cAMP応答配列(CRE)結合タンパク質(CREB)および活性化T細胞核因子(NFAT)が仲介する別々の下流経路を活性化する。骨代謝におけるカルシニューリンNFAT経路の重要性は、破骨細胞、骨芽細胞および軟骨細胞について立証されている。しかしながら、CaMK-CREB経路の寄与についてはあまり解明されておらず、これは相同性の高い類縁分子の機能を区別する詳細な検討が困難なことが一因である。本論文では、CaMKIV-CREB経路が破骨細胞の分化と機能にきわめて重要であることを示す。Camk4遺伝子の破壊では、薬剤を用いたCaMKの阻害と同様に、CREBのリン酸化が低下し、c-Fosの発現が減少した。このc-Fosは破骨細胞分化因子(receptor activator of NF-κB ligand、RANKL)よって活性化されるNFATc1(破骨細胞形成のマスター転写因子)の誘導に必要であることが知られている。さらに、CREBはNFATc1と共に、分化した破骨細胞が特異的に発現する遺伝子の発現を誘導した。したがって、CaMK-CREB経路は破骨細胞性骨吸収の転写プログラムを制御するために二相性に機能することが明らかになり、NFATc1の誘導を増強するだけでなく、一度発現が誘導されたNFATc1依存性の遺伝子調節も促進する。これは、骨疾患に対する新たな治療戦略への分子基盤となるものである。

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