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脊髄損傷:選択的Sema3A阻害剤は損傷脊髄の再生反応および機能的回復を促進する

Nature Medicine 12, 12 doi: 10.1038/nm1505

哺乳類成体の中枢神経系(CNS)の神経軸索では、損傷後の再生はほとんど見られない。複数の軸索伸長阻害分子が中枢神経系の軸索再生を妨げることが示唆されてきたが、最近の研究でセマフォリン3A(Sema3A)が軸索再生の主要な阻害分子の1つであることが報告されている。我々は今回、Sema3Aの強力かつ選択的な阻害剤SM-216289を真菌株の発酵培養物中に同定した。SM-216289のin vivoにおける作用を調べるために、成体ラットの脊髄を切断し、 SM-216289を切断部位に4週間にわたって投与した。SM-216289を投与したラットでは、損傷軸索の再生または軸索の保存が実質的に増強し、切断部位でのシュワン細胞によるしっかりとした髄鞘形成および神経軸索の再生、アポトーシス細胞数のかなりの減少、血管新生の顕著な促進が見られ、その結果としてかなり良好な機能的回復が認められた。したがってSema3Aは、脊髄損傷後における軸索再生をはじめとする再生反応の阻害に不可欠である。これらの結果は、ヒトの脊髄損傷の治療にSema3A阻害剤が使用可能なことを裏付けている。

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