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遺伝子治療:遺伝的修飾を加えた表皮幹細胞の移植による接合部型表皮水疱症の治療

Nature Medicine 12, 12 doi: 10.1038/nm1504

ヒトの表皮の継続的な更新は、上皮基底層および毛包に存在する幹細胞によって維持されている。ホロクローン(holoclone)として知られる培養ケラチノサイト幹細胞は、皮膚、粘膜、および角膜における重度欠損の修復に用いられる上皮シートを作り出す。基底膜成分であるラミニン5(LAM5)をコードする遺伝子の変異は、重篤で、しばしば致死的となる皮膚接着障害である接合部型表皮水疱症(JEB)をひき起す。LAM5-β3欠損によるJEBを発症した成人患者から得た表皮幹細胞に、LAMB3(LAM5-β3をコードする)cDNAを発現するレトロウイルスベクターを用いて形質導入を行ない、それを使って遺伝的に修正された培養表皮移植片を調製した。患者下肢の外科的処置を施した部位に、9枚の移植片を移植したところ、生着は8日後に完了した。機能をもつ正常量のLAM5の合成および適切な組み立てが認められ、しっかりと接着する表皮が成長して追跡調査期間(1年)内では安定であり、水疱、感染、炎症または免疫反応は認められなかった。レトロウイルス導入部位の解析では、再生された表皮では形質導入された幹細胞に特有なレパートリーが維持されていることが示された。今回の結果は、ex vivoでのJEBの遺伝子治療が実現可能であり、この疾患の完全な機能修正につながることを示している。

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