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感染症:結核菌のイソクエン酸リアーゼ1およびイソクエン酸リアーゼ2はともにin vivoでの増殖と毒性に必要である

Nature Medicine 11, 6 doi: 10.1038/nm1252

ハンセン病や結核の病原体を含むマイコバクテリウム(Mycobacterium )属の菌では、脂肪酸異化作用にかかわる遺伝子に大きな重複が見られる。今回、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)では、グリオキサル酸回路の酵素であるイソクエン酸リアーゼ(ICL)の2つのアイソフォームでそれぞれ原核生物あるいは真核生物の酵素に類似するものがともに、脂肪酸異化作用と毒力に必要とされることを示す。ICL1とICL2をそれぞれコードしている遺伝子icl1またはicl2の欠失は、マクロファージまたはマウスでの細菌増殖にほとんど影響しなかったが、この2つの遺伝子を両方とも欠失させると細胞内複製は完全に阻害され、菌は肺から迅速に排除された。ICL1とICL2を化学薬剤の阻害標的とすることは、二重特異性をもつICL阻害剤の使用によって実行可能であるとわかった。この阻害剤は、結核菌の脂肪酸を炭素源とする増殖およびマクロファージ中での増殖を阻止した。哺乳類にICLのオーソロガス遺伝子が存在しないことは、結核治療の新薬としてのグリオキサル酸回路阻害剤の開発を容易にすると思われる。

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