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ATMは腸に照射される放射線量増加に応 じた標的切り替えを調節する

Nature Medicine 11, 5 doi: 10.1038/nm1237

幹細胞の増殖死は、放射線照射による組織損傷にお ける唯一の関連標的であると考えられている。しか し、腸の幹細胞の損傷が条件によっては陰窩内皮の アポトーシスと関連することが最近報告されており、 これは2標的モデルを決定づけるものである。本論文 では、マウスの腸を微小血管のアポトーシスから保 護すると、照射放射線量の増加に伴い、放射線の標 的がこれまで認識されていなかった陰窩の幹細胞に 切りかわり、セラミド合成酵素を介するアポトーシ スが活性化されて腸の損傷が始まることを報告する。 ATM(ataxia telangiectasia-mutated)キナーゼ は、通常はセラミド合成酵素を抑制しているが、 Atm-/-マウスではこの酵素による抑制が解除されて 陰窩幹細胞の放射線感受性が3.7倍に高まる。しかし、 微小血管応答の感受性が上昇することはなかった。 このような腸の放射線感受性機序が見いだされたこ とで、Atm-/-マウスと同じ表現型をもたらすアンチ センスAtmオリゴヌクレオチドを設計し、これを用 いてセラミド合成酵素を介する幹細胞死を野生型同 複仔の消化器での最重要の反応とすることができた。 これらの実験により、組織はそれぞれ固有の放射線 感受性に応じて連続的に活性化される複数の標的を 巧みに使っていることが示された。また、治療目的 でこうした標的を組み換えることができれば、放射 線照射による組織反応を制御できるかもしれない。

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