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肥満:アンジオポエチン関連成長因子は肥満やインスリン抵抗性に拮抗する

Nature Medicine 11, 4 doi: 10.1038/nm1214

アンジオポエチン関連成長因子(AGF)は、アンジオポエチン様タンパク質(Angptl)ファミリーの一員であり、主に肝臓から体循環に分泌される。今回我々は、AGF欠損マウスのほとんど(80%以上)が胎生13日頃に死亡するが、生存したAGF欠損マウスは、対照マウスと比較してエネルギー消費量が減少しているために、著しい肥満、骨格筋および肝臓への脂肪蓄積、インスリン抵抗性をきたすことを示す。これとは対照的に、AGFを選択的に活性化したマウスでは、エネルギー消費量が増加することにより、やせとインスリン感受性の増加が認められる。こうしたマウスは、高脂肪食による肥満、インスリン抵抗性、非脂肪組織への脂肪蓄積からも守られている。高脂肪食下で飼育したマウスで、アデノウイルスを用いた遺伝子導入により肝臓でAGFを過剰発現させると、血清中のAGF濃度は約2.5倍に増加し、その結果有意な(P <0.01)体重減少と、インスリン感受性の増大が起こる。この研究により、AGFは肥満やそれに関連したインスリン抵抗性に拮抗する、新たな肝細胞由来の循環因子であることが確証された。

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