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多発性硬化症:多発性硬化症の2種類のマウスモデルではエピトープスプレッディングは中枢神経系で開始される

Nature Medicine 11, 3 doi: 10.1038/nm1202

多発性硬化症の2種類のマウスモデル、再発性EAE(R-EAE)とTheilerマウス脳脊髄炎ウイルス誘発性脱髄疾患(TMEV-IDD)ではT細胞による中枢神経系(CNS)の脱髄が慢性的に進行するが、その進行はミエリンの内在エピトープに対するT細胞の活性化(エピトープスプレッディング)に依存している。本論文では、カルボキシフルオレセインサクシニルエステル(CFSE)で標識したT細胞受容体(TCR)を遺伝子導入したT細胞と骨髄混合キメラの導入により、プロテオリピドタンパク質(PLP)178-191により誘発したR-EAEまたはTMEV-IDDを発症中のSJLマウスでは、PLP139-151特異的ナイーブT細胞の活性化が直接CNSで起こり、頚部リンパ節やその他の末梢リンパ組織では起こらないことを示す。PLP178-191で誘発したR-EAEを発症しているマウスのCNSから単離した抗原提示細胞(APC)群の抗原提示能を調べたところ、in vitroでは、F4/80-CD11c+CD45hi樹状細胞(DC)の行う内在抗原提示のみがPLP139-151特異的ナイーブT細胞の活性化を引き起こした。これに対し、DCはF4/80+CD45hiマクロファージやF4/80+CD45loミクログリアと同じく、PLP139-151特異的ヘルパーT細胞系列を活性化した。これらの結果から、ナイーブT細胞は炎症を起こしたCNSに浸潤し、そこに存在するAPC(おそらくDC)により活性化されてエピトープスプレッディングが始まると考えられる。

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