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遺伝子送達:転移メラノーマのP糖タンパク質を標的とする静注用レンチウイルス・ベクター

Nature Medicine 11, 3 doi: 10.1038/nm1192

静脈注射による特定の組織や臓器への選択的形質導入は、最も好ましい遺伝子送達法である。今回我々は、修飾したキメラ型シンドビスウイルス・エンベロープ(呼称m168)で擬装(pseudotyped)したレンチウイルス・ベクターを静脈注射することで、動物生体での標的部位への選択的到達に成功したことを報告する。m168擬装型は高力価で標的特異性も高く、他のレトロウイルス擬装型と違って肝臓や脾臓での非特異的感染力が低い。転移メラノーマのマウス癌モデルを使って、m168を使った静注標的法のテストを行った。メラノーマ細胞表面にヒトP糖タンパク質を異所的に発現させ、P糖タンパク質に特異的な抗体を共役付加したm168擬装型レンチウイルス・ベクターの標的とした。m168擬装型は尾への静脈注射による全身投与の後、肺で成長しつつあった転移メラノーマ細胞に選択的に到達できた。このターゲティング技術をさらに発展させれば、癌だけでなく遺伝疾患や感染症、免疫疾患にも適用できるようになると思われる。

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