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虚血性脳損傷:IKKは虚血誘導性の神経細胞死を仲介する

Nature Medicine 11, 12 doi: 10.1038/nm1323

IκBキナーゼ複合体であるIKKは、NF-κB依存性の遺伝子転写を制御するシグナル伝達カスケードの中心的要素である。今までのところ、脳内におけるIKKの機能についてはほとんどわかっていない。本論文では、脳卒中マウスモデルでIKKが活性化されることを報告する。脳虚血におけるIKKの機能を調べるために、ニューロンでIkbkb(IKK2をコードする)遺伝子を選択的に欠失させたマウスと、ニューロンでIKKの優性阻害型を発現するマウスを作出した。このどちらの系統でもIKK活性の阻害によって梗塞巣の大きさが大幅に縮小した。これとは対照的に、IKK2を構成的に活性化すると梗塞巣サイズは拡大した。IKKに選択的にはたらく小分子阻害剤は、ニューロンにおける遺伝的なIKK阻害に似た影響を示し、発症後4.5時間までは梗塞巣の体積と細胞死が低減した。以上の結果は、虚血性脳損傷でIKKが重要な機能を果たすことを示しており、またIKK阻害剤は脳卒中の治療に有用だろうと考えられる。

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