Article

アディポネクチン:アディポネクチンはAMPKおよびCOX-2を介する機構により心筋虚血再潅流傷害を防止する

Nature Medicine 11, 10 doi: 10.1038/nm1295

肥満関連疾患は、虚血性心疾患の進展に関与して いる。脂肪細胞から分泌されるアディポネクチン は、血中に豊富に存在するサイトカインであり、その血中濃度は肥満症や心筋梗塞患後に減少す る。本論文では、急性心筋傷害後に起こる心臓リ モデリングにおけるアディポネクチンの役割を検 討した。アディポネクチン欠損(APN-KO)マウ スでは、野生型のマウスと比較して、虚血再灌流 傷害により心筋梗塞巣が増大し、心筋のアポトー シスおよび腫瘍壊死因子(TNF-α)の発現が増 加する。アディポネクチンの投与により、APN- KOおよび野生型マウスの両者とも梗塞巣が縮小 し、アポトーシスおよびTNF-αの産生も減少し た。培養心筋細胞においても、アディポネクチン はアポトーシスおよびTNF-αの産生を抑制した。 優性ネガティブ型AMPキナーゼ(AMPK)によ り、アディポネクチンのアポトーシス抑制効果は 解除されたが、アディポネクチンのTNF-α産生 に対する抑制効果は影響を受けなかった。アディ ポネクチンは心筋細胞においてシクロオキシゲナ ーゼ(COX)-2を介しプロスタグランジンE 2の 合成を誘導し、COX-2の阻害はTNF-α産生と心 筋梗塞巣に対するアディポネクチンの抑制効果を 解除した。今回の結果は、アディポネクチンが AMPK-およびCOX-2を介して心筋虚血再灌流傷 害から心臓を保護していることを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度