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癌診断:組織プリント法およびプリント泳動法はヒト外科検体の分子解析用プラットフォーム技術となる:前立腺被膜の腫瘍浸潤のマッピング

Nature Medicine 11, 1 doi: 10.1038/nm1169

ヒト生検検体や外科検体の分子プロファイリングは、生物が本来もつ不均一性や臨床診断用組織の保存の必要性ゆえに一筋縄ではいかないことが多い。我々は、こうした状況下で組織および腫瘍マーカーのプロファイリングを進めるため、組織プリント(tissue print)法とプリント泳動(print-phoresis)法という、一対で使われる新手法を開発した。組織プリント法では、組織表面から細胞および細胞外マトリックスをニトロセルロース膜上に移し、二次元解剖像を得て、特異的なタンパク質およびRNA、DNA検出法により分子マーカーをその像上で視覚化できる。プリント泳動法は、組織プリントを細長く切ったものをポリアクリルアミドゲル電気泳動にかける新しい補完的電気泳動法であり、これによって組織プリント像とゲルを使ったプロテオミクス技術とを直接突き合わせることができる。今回我々はこれらの手法を用いて、前立腺被膜の腫瘍浸潤マーカーの特定と特徴づけを行った。この種の浸潤は一般に肉眼では見えないが、切除断端(陽性断端)で腫瘍に至る可能性がある。我々はまた、組織プリント法がマーカー地図作成の汎用プラットフォームとなり、これに組織病理像および放射線像を直接重ね合わせられること、それにより個々の悪性病巣について分子レベルでの特定と分類が可能になることを示す。

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