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CalDAG-GEFIが血小板凝集と血栓形成に関するシグナル伝達を統合する

Nature Medicine 10, 9 doi: 10.1038/nm1098

第二メッセンジャーであるカルシウムとジアシルグリセロール(DAG)を介してのシグナル伝達は、多くの生体系において不可欠な要素である。カルシウムとDAGのシグナルの統合は主に、カルシウムとDAGとの両者に結合するプロテインキナーゼCファミリーのタンパク質によって起こると考えられてきた。しかし、これと異なる経路にC a l D A G -GEF/RasGRPタンパク質ファミリーのメンバーが関与している可能性があり、こうしたタンパク質はその構造的特徴(カルシウムと結合するEFハンドとDAGに結合するC1ドメイン)から、カルシウムとDAGシグナルの統合する機能をもつのではないかと考えられる。CalDAG-GEF/RasGRPファミリーに属するタンパク質により制御されると思われるシグナル伝達系を解明するために、我々は脳と血液中で主に発現されるCalDAG-GEFIに注目した。遺伝学的にCalDAG-GEFIを欠失させたマウスを用いた実験から、CalDAG-GEFが血小板でのシグナル統合に必須であることがわかった。CalDAG-GEFIを欠失するマウス血小板では、CalDAG-GEFIから標的である低分子量GTPアーゼRap1へのシグナル伝達ができなくなったため、インテグリン依存性の凝集が著しく低下する。今回の結果は、中枢神経系CalDAG-GEFIの欠失またはその機能低減が起こると、同様のシグナル伝達障害が生じる可能性があることを示している。

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