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弁の欠陥と周皮細胞の異常取り巻きがリンパ水腫‐睫毛重生症候群におけるリンパ管機能不全の原因である

Nature Medicine 10, 9 doi: 10.1038/nm1094

リンパ管は間質液の吸収と組織の浮腫の予防に必須の器官である。毛細リンパ管には周皮細胞がないが、集合リンパ管に弁があってリンパ液の逆流を防止している。リンパ水腫-睫毛重生症候群(LD)では、フォークヘッド転写因子FOXC2をコードする遺伝子の突然変異のために、リンパ管の機能が阻害される。本論文では、Foxc2-/-マウスでは、リンパ管の構造異常、リンパ管を周皮細胞が取り囲む異常、弁の欠損、リンパ管の機能不全が起こっていることを報告する。さらに、LD患者や、マウスのFoxc2遺伝子およびリンパ管内皮細胞にある受容体をコードするVegfr3(別名、Flt4)遺伝子の2重ヘテロ接合体では、異常なまで高い割合の皮膚リンパ管が平滑筋細胞で取り巻かれていることも見いだした。我々の実験結果は、Foxc2はリンパ管の弁形成と、周皮細胞に取り巻かれない毛細リンパ管網形成のために必須であり、その後の過程でVegfr3と協同して働くことを明らかにしている。今回の結果は、リンパ管内皮細胞と周皮細胞間の異常な相互作用および弁の欠陥が、LDの発生機序になっていることを示すものである。

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