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reticulonファミリーのタンパク質はBACE1活性およびアミロイドβペプチド産生を調節する

Nature Medicine 10, 9 doi: 10.1038/nm1088

in vivoでβアミロイド変換酵素1(BACE1)の活性を阻害したり、BACE1の量を減少させたりすると、アミロイドβの産生が低下する。reticulonファミリーのタンパク質にはRTN1、RTN2、RTN3、RTN4(Nogoとしても知られる)の4種類がある。RTN4は、神経損傷後の神経突起の伸長阻害に関与することがよく知られている。本論文では、reticulonファミリーのタンパク質がBACE1に結合することを報告する。脳内では、BACE1はRTN3とともに主にニューロン内に局在するが、RTN4はオリゴデンドロイトのほうに多く存在する。どのreticulonタンパク質の発現が増加してもアミロイドβ(Aβ)産生は実質的に低下する。逆に、RNA干渉によってRTN3の発現を低下させるとAβの分泌が増えることから、reticulonタンパク質は細胞内におけるBACE1の負の調節因子であると考えられる。今回の結果は、reticulonタンパク質がアミロイド前駆体タンパク質へのBACE1の接近を阻害し、この前駆体タンパク質の切断を起こりにくくするという機構を支持している。したがって、ヒト脳でreticulonタンパク質の発現が変化すると、細胞内のAβとアミロイド斑形成が影響を受ける可能性がある。

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