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3-ヨードチロナミンは甲状腺ホルモンの即効型の内因性誘導体である

Nature Medicine 10, 6 doi: 10.1038/nm1051

チロキシン(T4)は主要な甲状腺ホルモン(TH)である。甲状腺機能亢進症はTHが過剰な状態であり、代謝速度の亢進、核心温度の上昇、心機能の増大を特徴とする。T4は、標的組織で酵素により脱ヨウ素化されて3,5,3'-トリヨードチロニン(T3)に変換される。T3は、核内TH受容体であるTRαおよびTRβに対して高い親和性を示すリガンドであり、これらの受容体の活性化は、脊椎動物の正常な発生および生理の調節に関わっている。T3により、TRαおよびTRβの活性化を介して調節される標的遺伝子の転写は緩やかな過程で、この影響が現れるまでには数時間ないし数日間を要する。速やかに現れるTHの作用に関しても報告はされているが、このような非ゲノム的な作用を仲介する分子はまだみつかっていない。今回、Gタンパク質共役型微量アミン受容体TAR1のin vitroにおける強力なアゴニストとなる、THの天然誘導体3-ヨードチロナミン(T1AM)を発見したので報告する。T1AMをマウスに投与すると、著しい低体温および徐脈が数分以内に生じた。T1AMの投与はまた、ex vivoの拍動心臓標品で心拍出量を速やかに減少させた。以上の結果は、新しいシグナル伝達経路の存在と、この経路の刺激がTH過剰時とは対照的な生理学的および行動学的な変化を速やかに誘導することを示している。

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