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組織因子細胞質ドメインのシグナル伝達による血管新生の制御

Nature Medicine 10, 5 doi: 10.1038/nm1037

止血は血管新生による創傷治癒を開始させ、血栓症は進行癌でみられることが多い。血液凝固の活性化は、血管新生における強力な制御因子を生じるが、この経路がin vivoで血管新生を支える仕組みについてはほとんど解明されていない。今回、組織因子(TF)-VIIaプロテアーゼ複合体が、血液凝固開始とは関係なく、プロテアーゼ活性化受容体2(PAR-2)のシグナル伝達を介して腫瘍および発展的血管新生を促進しうることを示す。これに関して、TF細胞質ドメインはPAR-2に対して負の制御を行う。TF細胞質ドメインを欠失したマウス(TFΔCTマウス)では、血小板由来増殖因子BB(PDGFBB)との相乗作用で、PAR-2に依存して血管新生が促進される。糖尿病患者から得た眼組織では、新生血管系にPAR-2とリン酸化されたTFが特異的に共存しており、TFの細胞質ドメインのリン酸化が血管新生におけるPAR-2シグナル伝達に対する負の制御を取り除くことが示される。TF-VIIaのシグナル伝達経路を標的にすれば、癌および血管新生に起因する眼疾患に対する血管新生抑制療法の有効性をさらに高められるかもしれない。

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