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トレハロースはハンチントン病のマウスモデルにおけるポリグルタミン型病変を緩和する

Nature Medicine 10, 2 doi: 10.1038/nm985

ポリグルタミンの作用によるタンパク質凝集を阻害することは、ハンチントン病などのポリグルタミン病の治療法となる可能性がある。本論文では、in vitroスクリーニングの結果から、さまざまな二糖類が、ポリグルタミンが関与するタンパク質の凝集を抑制することを報告する。また多様な二糖類が、ハンチントン病の細胞モデルでポリグルタミン凝集体を減少させ、生存率を上昇させることもわかった。最も効果的であった二糖類トレハロースの経口投与により、ハンチントン病のトランスジェニックマウスモデルで、脳および肝臓におけるポリグルタミン凝集体が減少し、運動障害が改善し、寿命が延長した。このような効果は、伸長したポリグルタミンへのトレハロースの結合と、部分的にほどけた状態のポリグルタミン含有タンパク質を安定化した結果であると考えられる。毒性がなく溶解性が高いことに加えて、経口投与時の有効性の高さから、トレハロースは、ポリグルタミン病の治療に用いる治療薬またはリード化合物として有望である。さらに、今回認められた糖とポリグルタミンの相互作用は、ポリグルタミン病の新しい治療戦略の1つとなる。

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