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HTLV-1がコードするp30IIはウイルス複製における転写後の負の調節因子である

Nature Medicine 10, 2 doi: 10.1038/nm984

ヒトT細胞白血病/リンパ腫ウイルス1型(HTLV-1)は、強力なウイルス特異的宿主免疫応答にもかかわらず持続感染し、感染者の約2%に成人T細胞白血病やリンパ腫を引き起こす。本論文では、HTLV-1が、 新規な転写後の機構によって、自身の複製を制限する遺伝的機能を進化させてきたことを報告する。HTLV-1がコードするp30IIは核内に存在するタンパク質であり、TaxおよびRexタンパク質をコードする2重にスプライシングを受けたmRNAに結合し、そのmRNAを核内に留める。TaxおよびRexはウイルス遺伝子発現の正の調節因子であるので、p30IIによるTaxやRexの発現抑制は、ビリオンの産生を減少させる。p30IIは、TaxおよびRexタンパク質の発現を低下させることによって、ウイルスの発現を抑制する。

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