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コリン作動性アゴニストはHMGB1放出を抑制し、実験的敗血症における生存率を向上させる

Nature Medicine 10, 11 doi: 10.1038/nm1124

生理的な抗炎症機構は、炎症性疾患の治療に活用できる可能性がある。本論文では、神経伝達物質であるアセチルコリンが、ニコチン性アセチルコリン受容体を介したシグナル伝達によって、ヒト・マクロファージからのHMGB1の放出を阻害することを報告する。選択的コリン作動性アゴニストであるニコチンは、アセチルコリンより効果が高く、内毒素や腫瘍壊死因子α(TNF-α)によって誘導されるHMGB1放出を阻害する。ニコチンによる刺激はNF-κB経路の活性化を妨げ、α7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7nAChR)を必要とする特異的な「ニコチン性抗炎症経路」を介してHMGB1の分泌を阻害する。in vivoでは、ニコチン投与は、敗血症発症後であっても血清中のHMGB1濃度を低下させ、実験的敗血症モデルマウスの生存率を向上させる。これらの結果はアセチルコリンが、ヒト・マクロファージからのHMGB1放出に対する初めて見つかった生理的阻害物質であり、α7nAChRに選択的に結合するニコチン性アゴニストが敗血症の治療薬となる可能性を示唆するものである。

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