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TCRのアフィニティと負の調節は自己免疫を制限する

Nature Medicine 10, 11 doi: 10.1038/nm1114

自己免疫疾患は、しばしば自己反応性T細胞によって媒介され、それらの自己反応性T細胞は、免疫病態を引き起こすように活性化されると考えられる。分子擬態として知られている機構では、交差反応性リガンドを発現している病原体によって自己反応性T細胞が活性化される可能性があるとしている。今回、活性化を引き起こす病原体に対するT細胞受容体(TCR)のアフィニティがどのように自己免疫に影響するか調べるためのモデルを開発した。このモデルでは、活性化を引き起こすリガンドに対するTCRのアフィニティの約5倍の違いが、自己免疫の発症を50%低下させる結果となることが示される。TCRのリガンドに対するアフィニティが正常時に比べて約20倍低下すると、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)と膵島炎が予想外に誘導されるにもかかわらず、自己免疫は発生しない。さらに、重要な負の調節分子であるCbl-bが存在しない場合は、低アフィニティのリガンドをコードするウイルスを感染させると、100%のマウスで自己免疫が発生する。したがって自己免疫疾患は、活性化を引き起こすリガンドのアフィニティと免疫応答を負に調節する正常な機構の両方に対して感受性を有する。

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