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ゲノムワイド関連解析:遺伝子特性の多遺伝子エンリッチメント解析を用いて複雑な形質や疾患の根底にある遺伝子を予測する

Nature Genetics 55, 8 doi: 10.1038/s41588-023-01443-6

ゲノムワイド関連解析(GWAS)は、ヒトの複雑な形質や疾患の生物学的性質を理解するための有益なツールであるが、関連バリアントから原因遺伝子が直接明らかになることはほとんどない。本研究では、新たな手法であるPoPS(polygenic priority score)を導入する。PoPSは、細胞タイプ特異的発現のような、形質に関連する遺伝子特性を学習することによって、GWAS座位での遺伝子の優先順位付けを行う。コード領域に原因バリアントがファインマッピングされた遺伝子セットを用いて評価を行うと、PoPSおよび最近接遺伝子は、それぞれが他の遺伝子優先順位付け手法よりも優れていることが明らかになったが、PoPSと他の(PoPSに)直交的な手法を組み合わせると、全体として最も良い成績が得られた。この組み合わせ手法を用いて、113の複雑な形質と疾患に関する1万642のユニークな遺伝子–形質のペアを高精度で優先順位付けすると、よく知られた遺伝子–形質の関係が見つかっただけでなく、未解明の座位に新たな遺伝子の候補が見つかった(例えば、推定糸球体濾過率〔eGFR〕に対してLGR4、深部静脈血栓症に対してCCR7)。まとめると本研究は、PoPSが既存の遺伝子優先順位付けツールボックスの強力な追加機能となることを実証している。

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