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エンハンサー/プロモーター:RNAポリメラーゼIIの動態はエンハンサーとプロモーターの相互作用に影響する

Nature Genetics 55, 8 doi: 10.1038/s41588-023-01442-7

エンハンサーがゲノムの遠く離れた場所の標的遺伝子の発現を制御する仕組みは、いまだ解明されていない重要な問題である。本論文では、ヌクレオソーム分解能レベルのゲノム接触マップ、新しく起こる転写、RNAポリメラーゼII(Pol II)動態ないしは何千もの候補エンハンサー活性に影響を及ぼす撹乱に関するデータを統合することにより、エンハンサー–プロモーターのコミュニケーションについて調べた。新たなMicro-C実験と公開されているCRISPRiデータを統合した結果、機能的なエンハンサー–プロモーターのペアは非機能的なペアに比べて、エンハンサーが標的プロモーターの近くにより多くの時間とどまっていることが明らかになった。これは、ゲノムの位置に無関係の要因に起因する可能性が少なからずある。転写サイクルを操作することで、エンハンサー–プロモーター相互作用においてPol IIが重要な役割を担っていることが分かった。注目すべきことに、プロモーターの近位で停止したPol IIは、それ自体が相互作用を部分的に安定化させた。我々は、転写動態を構成する要素自体が相互作用の持続時間や頻度に影響することで、エンハンサー–プロモーターのコミュニケーションを促進するという最新のモデルを提案する。

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