Analysis

HLA:HLA遺伝子群の動的な遺伝的調節構造を一細胞分解能でマッピングする

Nature Genetics 55, 12 doi: 10.1038/s41588-023-01586-6

ヒト白血球抗原(HLA)座位は、自己免疫疾患、感染症、移植、がんに及ぶ複雑形質において重要な役割を担っている。HLA遺伝子群のコード領域の多様性は広く報告されているが、HLAの発現レベルを遺伝的に調節する非コード調節性配列については包括的に調べられていない。本論文では、1073人の3つの組織から得た113万1414の一細胞を用いて、古典的HLA遺伝子群についての発現量的形質座位(eQTL)をマッピングした。我々は、技術的な交絡の影響を軽減するために、個別化された参照ゲノムを用いた、一細胞でのHLA発現を正確に定量するパイプラインであるscHLApersを開発した。その結果、全ての古典的HLA遺伝子について細胞タイプ特異的なシスeQTLを明らかにすることができた。一細胞分解能でeQTLをモデル化すると、多くのeQTL効果は、1つの細胞タイプ内であっても、細胞状態により動的であることが明らかになった。特にHLA-DQ遺伝子群は、骨髄系細胞、B細胞、T細胞内で細胞状態依存的な効果を示した。例えば、T細胞では、HLA-DQA1 eQTL(rs3104371)は、細胞傷害活性を持つT細胞で最も強力な効果を示した。遺伝的変異によるHLAの動的な発現量調節は、免疫応答における重要な個人差の基盤になる可能性がある。

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