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子宮がん:子宮頸部扁平上皮がんのマルチオミクス解析により明らかになった生物学的および臨床的意義のある細胞生態系

Nature Genetics 55, 12 doi: 10.1038/s41588-023-01570-0

子宮頸部扁平上皮がん(CSCC)は、免疫チェックポイント阻害に対してわずかな応答しか示さない。今回我々は、一細胞RNA塩基配列決定、空間トランスクリプトミクス、および空間プロテオミクスによる包括的なマルチオミクス解析と、遺伝学的および薬理学的撹乱を組み合わせ、CSCCの腫瘍内発現不均一性をまとめて空間的に示した高分解能マップを開発した。3つの異なる扁平上皮分化状態を再現する腫瘍状態(上皮サイトケラチン、上皮免疫〔Epi-Imm〕、上皮老化)では、それぞれに異なる腫瘍免疫微小環境が見られた。上皮サイトケラチン悪性細胞と免疫抑制性がん関連線維芽細胞の間の双方向性相互作用は、FABP5を介したトランスフォーミング増殖因子β経路シグナル伝達によって、免疫排除性微小環境を形成する。また、Epi-Imm腫瘍では、悪性細胞はインターフェロンシグナル伝達を介して、ナチュラルキラー細胞およびT細胞と相互作用する。子宮頸がん臨床試験(NCT04516616)の検体での予備的解析では、ネオアジュバント化学療法はEpi-Immへの状態移行を誘導し、免疫チェックポイント阻害療法後の病理学的完全寛解と相関することが明らかになった。これらの知見は、CSCCにおける細胞状態の多様性についての理解を深めるものである。

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