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エピジェネティクス:スーパーエンハンサーRNAのm6A修飾は、膵管腺がんにおいて局所でのクロマチン接近性を高め、がん遺伝子の転写を促進する

Nature Genetics 55, 12 doi: 10.1038/s41588-023-01568-8

非コードRNAのN6-メチルアデノシン(m6A)修飾の生物学的機能は、いまだほとんど分かっていない。本論文では、膵管腺がん(PDAC)におけるスーパーエンハンサーRNA(seRNA)のm6A修飾の全体像を示し、m6A seRNA、H3K4me3修飾、クロマチン接近性、がん遺伝子の転写が関わる調節軸を明らかにする。コフィリンファミリータンパク質のCFL1は、PDACで過剰発現していて、METTL3のコファクターとして、seRNAのm6Aメチル化形成に役立つことが分かった。seRNA m6Aの増加は、読み取り因子YTHDC2によって認識され、YTHDC2がH3K4メチルトランスフェラーゼMLL1を誘導して、転写と同時にH3K4me3修飾が行われる。H3K4me3が高レベルのスーパーエンハンサーでは、クロマチン接近性が増強され、がん遺伝子の転写が促進される。まとめると、これらの結果から、CFL1–METTL3–seRNA m6A–YTHDC2/MLL1軸が、局所でのクロマチン状態と遺伝子発現のエピジェネティックな調節に役割を果たしていることが明らかになり、スーパーエンハンサーとその転写産物の機能についての我々の理解が深まった。

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