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発生:マウス発生の一細胞アトラスを用いた細胞運命調節プログラムの系統的な同定

Nature Genetics 54, 7 doi: 10.1038/s41588-022-01118-8

ワディントンのエピジェネティックな地形は、細胞の分化を説明するためによく用いられるたとえである。最近、一細胞ゲノミクスが発達したことで、このワディントンの地形に対する理解に変化が生じているが、細胞の運命決定の分子機構は依然としてよく分かっていない。本論文では、一細胞レベルでマウスの発生過程における細胞系譜の分化についての細胞地形を構築し、細胞タイプの成熟過程における細胞系譜に共通の調節プログラムおよび細胞系譜に特異的な調節プログラムについて説明する。また、細胞系譜に共通の調節プログラムとして、無脊椎動物と脊椎動物の発生過程で広範な活性を示すものも見つかった。特にXbp1が、さまざまな種にわたり進化的に保存されている、細胞運命決定の調節因子であることが明らかになった。Xbp1の転写調節は、マウスの広範囲にわたる細胞タイプにおいて、遺伝子調節ネットワークの安定化に重要であることを実証した。我々の結果は、細胞の遺伝子調節プログラムについての遺伝的および分子的な手掛かりを示していて、細胞運命決定の理解をさらに深めていく際の基盤になると考える。

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