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3Dゲノミクス:DeepLoopはキロ塩基対解像度の疎な対立遺伝子別Hi-Cデータや一細胞Hi-Cデータを用いて、クロマチン相互作用をロバストにマッピングする

Nature Genetics 54, 7 doi: 10.1038/s41588-022-01116-w

ノイズの多いHi-Cヒートマップからクロマチンループをマッピングすることは、いまだに大きな課題である。今回我々は、低深度Hi-Cデータからロバストなクロマチン相互作用をマッピングするDeepLoopという手法について報告する。この手法では、厳密なバイアス補正後に深層学習に基づいたシグナル増強が行われる。DeepLoopでは、ループレベルの解像度の一細胞Hi-C解析が可能であり、また、いろいろなHi-Cプロトコルとミクロコッカスヌクレアーゼ(micro-C)間でのクロスプラットフォームの収束も実現する。DeepLoopではさらに、ヒトゲノム内での対立遺伝子特異的な相互作用の遺伝的およびエピジェネティックな決定因子のマッピングも可能である。DeepLoopにより、インプリンティングすなわち対立遺伝子性のDNAメチル化によって支配される対立遺伝子特異的相互作用を示す新たな座位の候補を見出した。また、不活化X染色体(Xi)では、DXZ4「メガドメイン」境界での局所的なループは、X染色体不活性化を回避するが、FIRRE「スーパーループ」座位は回避しないことが明らかになった。重要なことに、DeepLoopは、対立遺伝子性のクロマチンループによって作られるヘテロ接合の一塩基多型および大規模な構造バリアントの位置を正確に示すことができ、これらの多くはエンハンサーをつなげるもので、転写に影響を及ぼす。まとめると、DeepLoopはHi-Cの活用を拡張し、三次元ゲノムの遺伝学に対してループ解像度の知見を提供する。

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