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ゲノムアノテーション:ヒト遺伝学を読み解くための塩基配列に基づく調節活性の大域的マップ

Nature Genetics 54, 7 doi: 10.1038/s41588-022-01102-2

エピゲノムプロファイリングにより、調節配列を大規模に同定することが可能になったが、塩基配列やバリアントから調節活性をマッピングする体系的な方法はまだ見つかっていない。本研究では、ヒト遺伝学データを配列情報と統合し、形質や疾患の調節基盤を発見するためのフレームワークであるSeiを用いて、この課題に取り組んだ。1300以上の細胞株と組織に対して2万1907のクロマチンプロファイルを予測する深層学習モデルを用いて、塩基配列クラスと名付けた調節活性ボキャブラリーをSeiに学習させた。塩基配列クラスは、細胞タイプ特異的なエンハンサー機能といった多様な調節活性に基づいて、大域的な塩基配列やバリアントの影響の分類と定量化を可能にする。これらの予測は、組織特異的発現や発現量的形質座位、進化的制約データにより裏付けられた。さらに、配列クラスによって、複雑な形質の組織特異的な調節構造の特性解析が可能になった。また配列クラスにより、個々の調節配列変異の病因性を判断するためのメカニズムに基づく仮説が生み出された。このように、Seiはヒトの健康と疾患の調節基盤を解明するための研究情報資源として利用することができる。

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