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大腸がん:一細胞およびバルクのトランスクリプトーム塩基配列解読によって上皮腫瘍細胞の2つの状態が明らかになり、大腸がんのコンセンサス分子分類を改良

Nature Genetics 54, 7 doi: 10.1038/s41588-022-01100-4

大腸がんのコンセンサス分子サブタイプ(CMS)の分類は、細胞集団のトランスクリプトミクスに基づいており、その根底にある上皮細胞の多様性については明らかにされていない。今回我々は、63人の患者から得た37万3058の一細胞トランスクリプトームを解析し、4万9155個の上皮細胞に着目した。その結果、遺伝子発現、DNAコピー数、遺伝子調節ネットワークの違いに基づいて、あまねく悪性細胞が遺伝子レベルおよびトランスクリプトームレベルで2つのグループに分かれることが明らかになった。これらのサブタイプは、3614人の患者からの細胞集団トランスクリプトームでも同様のものが見られた。2つの固有のサブタイプであるiCMS2とiCMS3は、CMSの分類に改良をもたらす。iCMS3はマイクロサテライト不安定性(MSI-H)がんと、3分の1のマイクロサテライト安定性(MSS)腫瘍で構成されており、iCMS3 MSSがんは他のMSSがんに比べて、MSI-Hに転写的により類似している。CMS4がんは、iCMS2またはiCMS3のどちらかの上皮を有しており、後者の予後は最も悪かった。我々は、大腸がん固有の上皮軸を明らかにし、改良された「IMF」分類、すなわち固有の上皮サブタイプ(I)、マイクロサテライト不安定性状態(M)、繊維症(F)の組み合わせからなる5つのサブタイプを提唱する。

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