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大腸がん:一細胞解析により、ポリープから大腸がんへの悪性形質転換における連続的な細胞状態変化や組成変化が明らかになる

Nature Genetics 54, 7 doi: 10.1038/s41588-022-01088-x

本論文では、健康な大腸から前がん性腺腫、そして大腸がん(CRC)への形質転換中に起こる、細胞組成や細胞状態の変化を明らかにするために、48つのポリープ、27つの正常組織、6つのCRCを患者から採取し、各試料当たり1000〜1万細胞について、一細胞クロマチン接近性プロファイルと一細胞トランスクリプトームの解析を行った。試料の採取にあたっては、患者のAPC生殖細胞系列変異の有無に関係なく、各採取を行った。ポリープおよびCRC細胞の大部分は幹細胞様の表現型を示し、これらの幹細胞様細胞が恒常性状態からCRCに進むにつれて、細胞では連続的なエピジェネティック変化および転写変化が起きていることを明らかにし、これを定義した。ポリープが進行すると、幹細胞様細胞、制御性T細胞、前がん状態関連繊維芽細胞のサブタイプが数多く含まれるようになった。がん状態では、T細胞の疲弊、RUNX1によって調節されるがん関連繊維芽細胞、上皮におけるHNF4Aモチーフに関連する接近性上昇が観察された。散発性CRCではDNAメチル化の変化は、この連続的過程に沿った接近性の変化と強く反相関しており、この変化により、ポリープの分子的病期分類の調節マーカーが発見された。

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