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サトウキビ:同質倍数体サトウキビSaccharum spontaneumの新しい染色体減少に対するゲノム解析から得られた知見

Nature Genetics 54, 6 doi: 10.1038/s41588-022-01084-1

Saccharum spontaneum(ワセオバナ、サトウキビ野生種)はSaccharumの原種であり、倍数性のレベルで大きなばらつきを示す。我々は、S. spontaneum Np-X(2n = 4x = 40)の高品質な同質倍数体ゲノムから、相同な10のグループに分けられる40本の偽染色体を構築した。これにより、約150万年前に起こった新しい染色体減少と倍数体化の実態が明らかとなった。古く複製されたサトウキビ属の染色体ペアであるNpChr5とNpChr8では、分裂およびそれに続く融合が80万年前頃に起こっており、その過程にはセントロメアの分裂も伴っていた。Np-X(x = 10)が祖先の核型である可能性が高く、ここからx = 9およびx = 8が進化したと推測される。S. spontaneumのアクセッション102個をリシークエンシングすることにより、S. spontaneumはインド北部でx = 10の祖先から発生し、その後、4つの大きなグループに分かれてインド亜大陸、中国、東南アジアに広まったことが明らかとなった。本研究は、サトウキビの品種改良を加速させる新たな方向性を提案するとともに、同質倍数体の進化に関する知見を拡大する。

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