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心疾患:単一核クロマチン接近性のプロファイリングから明らかになった、冠動脈疾患リスクの調節機構

Nature Genetics 54, 6 doi: 10.1038/s41588-022-01069-0

冠動脈疾患(CAD)は、細胞タイプ横断的な遺伝的影響を示す複雑な炎症性疾患である。ゲノムワイド関連解析によって、CADと関連する200以上の座位が特定され、そのリスクバリアントの大部分は非コードDNA配列内にあり、シス調節配列に影響を及ぼすことが明らかになっている。今回我々は、単一核ATAC-seq(assay for transposase-accessible chromatin with sequencing)によって、さまざまなステージにあるCAD患者41人から採取した冠動脈セグメントに対して28,316個の核のプロファイリングを作成し、14の異なる細胞クラスターを見いだした。全ての細胞にわたって32万か所に及ぶ接近可能部位をマッピングし、細胞タイプ特異的配列と転写因子を見つけ、CADの機能的リスクバリアントの優先順位付けを行った。その結果、平滑筋細胞の遷移状態(例えばfibromyocyte)の配列エレメントや、平滑筋細胞やマクロファージ特異的に調節を変化させると予測された機能的バリアントが見つかった〔それぞれMRAS(3q22)とLIPA(10q23)〕。さらに、PRDM16やTBX2などが主要なドライバー転写因子の候補に挙がった。まとめると、この単一核アトラスは、変化していくCADリスクの調節機構を横断的に解明するための重要な一歩となる。

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