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精神疾患:11の主要な精神疾患の遺伝的構造についての生物行動学、機能ゲノミクス、分子遺伝学レベルでの解析

Nature Genetics 54, 5 doi: 10.1038/s41588-022-01057-4

本論文では、11の主要な精神疾患についての生物行動学、機能ゲノミクス、分子遺伝学のレベルでの解析を基に、11の疾患に共通する遺伝的構造を調べた。我々は、これらの疾患の間の遺伝的相関の基盤をなす幅広い要因として4つ(神経発達的要因、強迫行動学的要因、精神疾患的要因、内在化障害的要因)を明らかにし、これらの要因が生物行動学的形質との遺伝的相関を十分に説明するかを検討した。我々は、層別化ゲノムの構造方程式モデルを用いて、共有する遺伝的リスクに偏って関与する遺伝子セットを特定した。このセットには、興奮性およびGABA作動性の脳細胞で発現する、タンパク質短縮型バリアントを許容しない遺伝子が含まれていて、エンリッチメント解析により、これらの遺伝子は、精神疾患的要因を持つ疾患群間での遺伝的重なりとして豊富に見られることが分かった。多変量関連解析から、個々の要因に作用する152(新規は20)の独立した座位が検出され、また、1つの要因内で疾患間で不均一に作用する9の座位が明らかになった。11の精神疾患全てにわたって中程度~高程度の遺伝的相関が見られるにもかかわらず、これらの精神疾患に対する各要因の遺伝的リスクの有用性は、生物行動学的相関のレベルでも、個々のバリアントのレベルでもほとんど見られなかった。

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