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血漿プロテオーム:ヨーロッパ系やアフリカ系の人における血漿プロテオーム解析からシスpQTLおよびプロテオームワイド関連解析モデルが示される

Nature Genetics 54, 5 doi: 10.1038/s41588-022-01051-w

プロテオームの遺伝的調節の理解が深まれば、複雑な形質の原因となる機構が見つけやすくなる可能性がある。我々は、地域におけるアテローム性動脈硬化症リスク(Atherosclerosis Risk in Communities;ARIC)研究のヨーロッパ系米国人(EA)7213人とアフリカ系米国人(AA)1871人から得られた4657の血漿タンパク質についてのデータを解析し、さらにアフリカ系米国人の腎疾患および高血圧(African American Study of Kidney Disease and Hypertension;AASK)研究のAA 467人において追試を行った。本論文では、シス領域のありふれたバリアントと関連を示すタンパク質を、EAにおいて2004個、AAにおいて1618個見つけたことを報告する。また、これらのタンパク質には2つの集団間で非常に大きな重複が見られた。利用できるAA試料の数が少ないため、信頼できるセットが小さくなり、集団特異的なシス-タンパク質量的形質座位(pQTL)の数が顕著に少なくなる。Elastic Netを用いて、両集団においてタンパク質を予測するための強力なモデルを作成した。プロテオームワイド関連解析を血清尿酸と痛風に適用すると、IL1RNなどのいくつかのタンパク質の関与が示され、急性痛風フレアの治療に薬剤アナキンラが有効である可能性が明らかになった。我々の研究は、分子表現型の遺伝的機構とそれらの複雑な形質との関係を調べるために、多様な祖先系集団を含んだ大規模な研究が有用であることを示している。

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