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遺伝率:全ゲノム塩基配列決定データから、複雑形質の遺伝率に対する希少なバリアントの寄与を評価する

Nature Genetics 54, 3 doi: 10.1038/s41588-021-00997-7

血縁関係のない人についてのゲノムワイド関連解析データの分析から、ヒトの形質や疾患に関しては、遺伝率の約3分の1から3分の2がありふれたSNPによって捉えられることが示されている。しかし、残りの遺伝率が捉えられていないのは、ありふれたSNPでは原因バリアントが不完全にしか表されないからなのか、特に原因バリアントが希少だからなのか、あるいは家系図データからの推定における偏りのために遺伝率が過大に評価されてしまうのかは、解明されていない。本論文では、血縁関係のないヨーロッパ系の2万5465人の全ゲノム塩基配列決定データから、身長とボディーマス指数(BMI)の遺伝率を推定した。推定された遺伝率は、身長で0.68(標準誤差0.10)、BMIで0.30(標準誤差0.10)であった。隣接するバリアントと低い連鎖不平衡(LD)にあるマイナー対立遺伝子頻度の低いバリアントによって遺伝率がよく説明され、また、これがタンパク質を変化させるバリアントの場合は特に大きく遺伝率が説明された。これは負の選択と一致する。我々の結果は、まれなバリアント、特に低い連鎖不平衡にある領域のバリアントが、複雑形質や複雑疾患のいまだ失われている遺伝率の主な源であることを示唆している。

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