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がんの進化:がんゲノムにおける両対立遺伝子性変異から局所的な変異決定因子が明らかになる

Nature Genetics 54, 2 doi: 10.1038/s41588-021-01005-8

分子進化の無限部位モデルでは、ゲノムの全ての位置が最大1回変異すると仮定される。考えられる変異歴、ハプロタイプ、対立遺伝子の数を制限することにより、このモデルは、腫瘍の系統解析の基礎を築き、バリアントの位置や種類の解析、相決定、解釈、あるいは変異の全体像の研究の際にしばしば用いられる。我々は、がん種横断的全ゲノム解析(PCAWG)の試料を用いて、各親由来のコピーの両方において同じ位置の塩基に独立に変異が生じる1万8295の両対立遺伝子性変異を、559の試料(21%)で見つけた。この解析では、塩基配列決定は細胞集団として行った。両対立遺伝子性変異の解析から、ETS(E26 transformation-specific)とNFAT(nuclear factor of activated T cell)の結合部位の紫外線損傷ホットスポットや、POLE変異がんなどのがんにおいて変異が非常によく起こるモチーフが明らかになった。我々は、バリアントコールの推奨事項を考案し、両対立遺伝子性変異をモデル化および検出するための枠組みを示す。これらの結果は、変異率や腫瘍進化のモデルのみならず、それらを塩基配列決定データから推定する際のモデルの正確さの必要性を示している。

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