Article

イネ:イネにおける2つのbHLH転写因子による種子休眠の拮抗的制御

Nature Genetics 54, 12 doi: 10.1038/s41588-022-01240-7

種子休眠性の欠如による穂発芽(PHS)は、世界中の穀物生産にとって深刻な脅威となっている。種子休眠性は複雑な量的形質であり、利用可能な制御遺伝子が限られていることが、丁度よい種子休眠性をもつ栽培品種の育種を難しくしている。我々はイネ品種群ausを用い、再現性のある種子休眠についての表現型を指標として、安定した組換え体の遺伝的背景を解析することにより得られた、量的形質座位であるSeed Dormancy 6SD6)について報告する。SD6は塩基性ヘリックス‐ループ‐ヘリックス(bHLH)型転写因子をコードしており、種子休眠性の自然変異の基礎となる遺伝子である。SD6と、また別のbHLH型転写因子であるICE2(inducer of C-repeat binding factors expression 2)は、アブシジン酸の代謝に関わる遺伝子ABA8OX3を直接的に、またアブシジン酸の合成に関わる遺伝子NCED2をOsbHLH048を介して間接的に、いずれも温度依存性に制御することにより、種子休眠の制御において拮抗的に働く。SD6の弱休眠性対立遺伝子は栽培イネでは一般的であるが、野生イネでは負の選択を受けている。今回特に、SD6やそのコムギにおける相同遺伝子(ホモログ)のゲノム編集実験により、穀類の圃場条件下での穂発芽低減を目指す品種改良において、SD6の標的としての有用性が示されたことに注目してほしい。N&V p. 1772

目次へ戻る

プライバシーマーク制度