Article

3Dゲノミクス:コヒーシンとCTCFは染色体折りたたみの動態を制御する

Nature Genetics 54, 12 doi: 10.1038/s41588-022-01232-7

哺乳類では、トポロジカルドメイン内の塩基配列間の相互作用が、ゲノム上で長距離にある遺伝子の発現制御を可能にしている。しかし、そのための接触が起こる頻度や持続する長さ、それらが染色体折りたたみの動態やコヒーシンのループ押し出し活性に依存する程度については分かっていない。今回我々は、生細胞内での染色体位置を空間的および時間的に高分解能で画像化した結果、トポロジカルドメイン内の相互作用は一過的であり、細胞周期の進行過程で頻繁に起こることを示す。相互作用は、収束して集まったCTCF部位があると、頻度が増え持続時間が長くなり、その結果、染色体折りたたみの時間的変化が抑制される。染色体動態の物理モデルも我々のデータを裏付けており、CTCFアンカーループは約10分間持続することを示唆している。我々の結果は、長距離転写調節が一過的な物理的近接性に依存している可能性を明らかにし、非常に動的な染色体構造をコヒーシンやCTCFが安定化させて、選ばれたサブセット間で染色体相互作用が起こることを容易にしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度