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卵巣がん:高異型度漿液性卵巣がんの長期生存者のゲノムおよび免疫の全体像

Nature Genetics 54, 12 doi: 10.1038/s41588-022-01230-9

診断後に5年以上生存する進行高異型度漿液性卵巣がん(HGSC)の全患者数は半数に満たないが、これらの長期生存の患者は、腫瘍生物学的性質や治療法についての知見を提供し得る。本論文では、診断後10年以上生存した、進行した病期のHGSC患者60人について、原発腫瘍試料の全ゲノム塩基配列決定と、トランスクリプトームおよびメチロームのプロファイリングを用いて解析し、このデータを短期生存者あるいは中期生存者66人と比較した。長期生存者の腫瘍は、DNA修復に関連する遺伝子に多数の変化を持ち、体細胞バリアントの頻度がより高いため、予測解析によるネオアンチゲン量が増加する傾向が強かった。ゲノムおよび免疫細胞のシグネチャーの違いに基づいて、患者を生存期間グループによって分類したところ、BRCA1変化を持つ3つの患者サブセットの転帰は明らかに異なっていることが分かった。生殖細胞系列および体細胞での遺伝子変化、腫瘍細胞の表現型、異なる免疫応答の特別な組み合わせが、HGSCにおける長期生存に関与していると考えられる。

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