Article

結合組織幹細胞:Prrx1は成体マウスの骨、白色脂肪組織、真皮の幹細胞を標識する

Nature Genetics 54, 12 doi: 10.1038/s41588-022-01227-4

骨や脂肪組織といった特殊化した結合組織は、ミネラルやエネルギーの恒常性維持をはじめとするさまざまな生理的活動を制御している。しかし、これらの組織を成体期に維持する幹細胞の役割については、よく分かっていない。本論文では、新たに作製したノックインCre/CreERT2マウス系統において遺伝的細胞系譜追跡と細胞除去実験を行うことで、Prrx1を発現するまれな細胞が、成体マウスの骨、白色脂肪組織、真皮の幹細胞として機能すること、また、これらの組織の恒常性と修復に不可欠であることを示す。一細胞プロファイリングから、Prrx1発現細胞の細胞周期進行と多能性が明らかになり、また、これらの細胞の幹細胞性を移植実験によってさらに検証した。そのうえ、Prrx1発現幹細胞の細胞表面マーカーを明らかにし、これらの幹細胞の活性がWntシグナル伝達によって調節されていることが分かった。これらの知見は、結合組織の恒常性や再生についての我々の知識を深め、幹細胞ベースの治療法の改善に役立ち得るものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度